日本アパレルソーング工業組合連合会取引行動規範

(Code of Conduct)ガイドライン抜粋版

初版:2024年7月17日制定

はじめに

(A)基本事項 

  A-1:法令遵守

  A-2:許認可証

  A-3:顧客要求事項

 

 (B)社会的責任 

  B-1:雇用契約の遵守 

  B-2:最低就労年齢(児童労働/若年労働) 

  B-3:強制労働  

  B-4:労働時間及び時間外労働  

  B-5:報酬/賃金  

  B-6:懲罰及び差別  

  B-7:結社の自由/団体交渉の権利 

  B-8:苦情処理制度  

  B-9:下請け先  

  B-10:汚職防止  

  B-11:反社会的勢力の排除

 

 (C)安全衛生と健康 

  C-1:基本要求 

  C-2:労働環境

  C-3:化学物質管理 

  C-4:ウェット処理(染色・整理、洗い加工) 

  C-5:防火/緊急退出 

  C-6:機械の保守点検

  C-7:設備の安全

  C-8:飲料水 

  C-9:衛生設備 

  C-10:医療機器 

  C-11:労働災害 

  C-12:寮/寄宿舎

 

はじめに

「日本アパレルソーイング工業組合連合会‐取引行動規範(Code of Conduct 呼称:CoCと言う)」は、国連グローバルコンパクトの定める4分野(人権・労働・環境・腐敗防止)10原則と、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、経済協力開発機構(OECD)多国籍企業行動指針に基づいた「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」、また国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」の要求事項を尊重し、且つ日本繊維産業連盟が作成した「繊維産業における企業行動ガイドライン」の趣旨を理解し、同ガイドラインに沿って策定されております。

 

【日本アパレルソーイング工業組合連合会(呼称:JAIF):基本方針】

CoCの基本要求事項に沿い、事業活動を通じて人権の尊重に取り組みます。

また、本方針に沿った人権尊重への理解と実践を期待し、協働して人権の尊重を推進することを目指します。

事業活動における人権尊重

私たちは、事業活動において、自らが人権侵害をしないことに加え、取引関係を通じて人権侵害を助長しないよう努めます。

人権に関する国際規範の尊重

私たちは、「世界人権宣言」を含む国際人権章典、「労働における基本的原則及び権利に関するILO(国際労働機関)宣言」 の中核的労働基準に表明されている人権を最低限のものとして理解し、尊重していきます。そして、「ビジネスと人権に関する指導原則」及び国連グローバル・コンパクトの10原則を支持し、これらの原則に基づいて事業活動を行います。また、私たちは、事業活動を行う国や地域の法令を遵守します。国際的に認められた人権と事業活動を行う国や地域の法令に矛盾がある場合は、法令を遵守しつつ、国際的に認められた人権の原則を尊重する方法を追求します。

 

ガバナンス・管理体制

本方針の遵守及びその取り組みを連合会は監督します。

人権デューディリジェンス

私たちは、私たちの事業活動に関わる人権への負の影響を特定、評価、防止、是正するために人権デューディリジェンスを実施します。

 

事業活動に関わる人権課題

1,最低就労年齢(児童労働)

私たちは、児童労働を認めず、法に定められた最低就労年齢を守ります。また、18歳未満の者を、危険有害労働に従事させません。

2,強制労働

私たちは、強制労働を認めません。また、債務労働や人身取引を含む、いかなる形態の現代奴隷も認めません。

3,差別

私たちは、(性別、年齢、国籍、地域、人種、肌の色、政治信念、妊産婦、性的志向、宗教、社会的背景)などに基づく、いかなる差別も行いません。

4,ハラスメント・非人道的な扱い

私たちは、身体的、若しくは精神的であるかを問わず、性的ハラスメント、パワーハラスメントを含む、あらゆる形態のハラスメントを認めません。また、職場におけるあらゆる差別的言動や、嫌がらせにより、就業環境を害するような言動を認めません。

5,結社の自由と団体交渉権

私たちは、労使関係における従業員の結社の自由及び団体交渉権を尊重します。

6,労働時間と賃金

私たちは、適用される法令に従い、従業員の労働時間、休日、休暇、賃金を適切に管理します。

7,労働安全衛生

私たちは、適用される法令に従い、一人ひとりが健康かつ安全に、そして安心して働き続けられる職場環境を整備します。

8,苦情処理メカニズム

私たちは、役職員及び私たちの事業活動に関わる人権課題を適時に把握し、対応していくため、実効的な通報や苦情処理の仕組みの構築に取り組みます。

 

是正・救済

私たちの事業活動が人権への負の影響を引き起こしている、あるいは取引関係を通じて人権侵害を助長していることが明らかになった場合は、適切な手続きを通じて、その是正・救済に取り組みます。

 

認証判定基準

6(シックス)ストライク事項

以下の6つを最重要要求事項とし、この要求事項に不適合が発見された場合、他の全ての要求事項項目も不適合となる。

また、以下の6つの最重要要求事項以外で不適合項目が発見された場合は、是正項目となり改善・是正が一定期間内で行われなければならない。

1, 就労最低年齢以下‐児童労働の採用があり労働実態があった場合

2, 最低賃金以下の雇用‐最低賃金未満、残業代の未払い、性差による差別的報酬等(但し福利厚生費については法令・規制に基づく)が発見された場合

3, 強制労働下の就労‐世界的に禁止されている「人権保護と劣悪労働環境下事項」が発見された場合

4, 懲罰と差別の存在‐“虐待やいやがらせハラスメント、その他いかなる懲罰的な措置”と“人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、社会的出身等の差別”は人権の面で強く禁じられる、その事項が発見された場合

5, 安全で健康的な労働環境‐劣悪な職場環境下で労働者の安全衛生と健康の側面で法令違反が発見された場合

6, 結社の自由及び団体交渉権‐労働者と雇用者の対話と協力を促進する基本的な人権を脅かす懸念が発見された場合

 

日本アパレルソーイング工業組合連合会は、これらの以上の理念を会員と共に関わる全てのお取引先様と共有し、ともに社会に貢献する企業であるために、新たに組合員の「日本アパレルソーイング工業組合連合会取引行動規範(Code of Conduct)」を策定いたしました。重ねてサプライチェーン全体の人権及び透明性の更なる向上に取り組む所存でございます。

具体的には、本編「日本アパレルソーイング工業組合連合会取引行動規範―CoC―」をご参照頂き、ご理解ご協力賜りますようお願い申し上げます。


(A)基本事項

A-1:法令遵守

要求事項:日本国と地方の賃金、就業時間、雇用、労働、安全衛生と健康、に関する全ての法令と規則を遵守しなければならない。

確認事項及び期待される基準 本編ガイドラインに記載

法的要求 本編ガイドラインに記載

 ※確認事項及び期待される基準、法的要求は、以下各項目の本編ガイドラインに記載。

A-2:許認可証

要求事項:適切に登録、認可され、操業地の自治体から操業許可を得なければならない。

 

A-3:顧客要求事項

要求事項:納入先顧客の要求事項を遵守しなければならない。

 

(B)社会的責任

B-1:雇用契約の遵守

要求事項:

・従業員と雇用契約を締結しなければならない。

・雇用条件を明確化し、従業員へ説明しなければならない。

 

B-2:最低就労年齢(児童労働/若年労働)

要求事項:

・日本国における最低就労年齢を守らなければならない。

・最低就労年齢は義務教育終了の年齢を下回ってはならない。

・従業員の年齢を立証する義務を負わなければならない。

・若年従業員(最低就労年齢以上満18歳未満)の労働時間や夜間労働、危険な労働、有害な労働、報酬、社会保険、労働条件、研修期間等についての法令及び規制を遵守しなければならない。

 

B-3:強制労働

要求事項:

・従業員に対し、不本意な強制労働を強いてはならない(無償労働、拘束労働含む)。

・債務労働や人身取引を含む、いかなる形態の現代奴隷も認めてはならない。

 

B-4:労働時間及び時間外労働

要求事項:

・働いた時間(勤務時間と残業時間)の合計が、労働基準法で定められた上限時間を守るようにしなければならない。

・すべての従業員は少なくとも7日間で1日の休日を取る権利を有する。

・従業員が残業した場合、労働基準法による報酬を支払わなければならない、36協定を従業員代表と交わすことが望ましい。

 

B-5:報酬/賃金

要求事項:

・日本国の法律上の最低賃金と法的義務がある手当を、従業員に支払わなければならない。

・従業員が残業した場合、日本国の法律による報酬を支払い、各従業員に給与支払期間の正確な給与明細を用意しなければならない。

・性差により報酬を差別してはならない。

 

B-6:懲罰及び差別

要求事項:

・性別、年齢、国籍、地域、人種、肌の色、政治信念、妊産婦、性的志向、宗教、社会的背景により差別してはならない。

・虐待やいやがらせハラスメント、その他いかなる懲罰的な措置(肉体的又は精神的)を行ってはならない。

・従業員は搾取されてはならず、人間としての尊厳を傷つけられてはならない。

 

B-7:結社の自由/団体交渉の権利

要求事項:

・結社の自由と団体交渉の権利を遵守しなければならない。

・日本国の法規制の最新情報を入手し、従業員に伝達しなければならない。

・従業員は組合や業界団体に加入し、団体交渉に参加する権利を有し、どの従業員も、結社の自由と団体交渉の権利獲得努力に対する嫌がらせ、脅迫、報復を受けてはならない。

 

B-8:苦情処理制度

要求事項:

従業員の不満を迅速に受付、対応する仕組みを構築しなければならない。

(提案箱、対応窓口の設置、委員会での情報交換等)

 

B-9:下請け先

要求事項:

下請け先(工場との契約に基づいて製造している企業で、工場のサプライチェーンの一部を担っている)についても社会的責任、労働安全衛生の監査を行うことが望ましく、その遵守が担保できない工場へは外注してはならない。

 

B-10:汚職防止

要求事項:

・取引先とのビジネス関係が公平であることを担保するため、個人的な感情をビジネス関係に持ち込んではならない。

・賄賂を贈ったり受け取ったりしてはならない。

・汚職防止するための社内システムを構築しなければならない。

 

B-11:反社会的勢力の排除

要求事項:

・ビジネスから反社会的勢力を排除しなければならない。

・取引を開始する際には、取引先が反社会的勢力と関わり合いがないかチェックしなければならない。

・関係するビジネスと反社会的勢力との関係を常に監視し、反社会的勢力への資金の流入を遮断しなければならない。

・反社会的勢力を排除するための社内システムを構築しなければならない。

 

(C)安全衛生と健康

C-1:基本要求

要求事項:

・清潔で安全で健康的な労働環境を従業員に提供しなければならない。

・国の法律で義務付けられた労働環境の安全衛生と健康に関する規則を遵守しなければならない。

 

C-2:労働環境

要求事項:

・清潔で安全で健康的な労働環境を従業員に提供しなければならない。

・国の法律で義務付けられた労働環境の安全衛生と健康に関する規則を遵守しなければならない。

 

C-3:化学物質管理

要求事項:

・化学物質の保管は、隔離された場所に明確にラベル表示され、安全サインがあり、換気がされていなければならない。

・その取扱いと廃棄の説明(SDS安全データシート)があり、従業員用の保護具が用意され、漏洩対策清掃用品が備わっていなければならない。

 

C-4:ウェット処理(染色・整理、洗い加工)

要求事項:

・ウェット処理で使用される化学物質には、その使用が禁止、制限された物質があり、湿式処理を行っている工場は、法的要求及び本編ガイドラインに記載事項を十分に理解し、それを使用していないことの証明や、その取扱いについて、法律及び輸出する場合はREACHに則り運用しなければならない。

・REACHとは、欧州連合規則(2006年12月18日付規則2006/1907)であり、化学物質の製造と使用を対象とする。

 

C-5:防火/緊急退出

要求事項:

・緊急退出経路図はフロア内の目立つ場所に掲示され、現在地の表示があり、更新されなければならない。

・避難経路と避難指示は現地語で書かれ、避難経路は床面にマークされなければならない。

・出口ドアは横にヒンジのあるスイング式で、退出者の流れの方向に開かなければならない。

・非常出口はサインによりマークされ、30m先かつ、暗所でも視認できるものでなければならない。

・火災、緊急警報が設置され、定期的に避難訓練が実施されなければならない。

・消火器は職場のクラスに応じ、設置され、毎月検査し、検査日が記入されなければならない。

・年1回以上の消防訓練が実施されなければならない。

 

C-6:機械の保守点検

要求事項:

・機械の可動部は危険が無いようにカバーされていなければならない。

・定期的に機械の保守、点検を行い、機械のパラメーターは正確に維持されなければならない。

 

C-7:設備の安全

要求事項:

・施設設備(エレベーター、ボイラー、フォークリフト、コンプレッサー、配電盤など)は、適用法令及び規則に適合し、安全衛生及び健康に配慮した職場環境を提供しなければならない。

・事故や災害を予防し、有事発生時には有効な手段を講じることが出来るようにしなければならない。

 

C-8:飲料水

要求事項:

・管理責任者を任命し、安全な飲料水を無償で提供しなければならない。

 

C-9:衛生設備

要求事項:

・衛生設備は、清潔で、常に入ることができ、適切な照度と換気が維持され、プライバシーが保たれなければならない。

 

C-10:医療機器

要求事項:

・各フロアには、補充された救急箱が適切な場所に設置されなければならない。

・緊急時の連絡先が掲示されていなければならない。

・応急処置の訓練を受けた従業員がいなければならない。

 

C-11:労働災害

要求事項:

・危険防止及び健康管理の措置が講じられ、安全衛生の管理体制が整備されていなければならない。

・労働災害の履歴を記録し、保管しなければならない。

 

C-12:寮/寄宿舎

要求事項:

・提供されている寮や寄宿舎は、数や大きさ、設備面、衛生施設等に関する一般的な法令を遵守していなければならない。

・職場と同レベルの保健衛生及び安全策が講じられていなければならない。

・管理責任者を任命し、それらの法令、規則を遵守しなければならない。